北九州市戸畑区で昨年12月、タクシーが電柱に衝突し、男性運転手(当時74)と乗客の男性(同72)が死亡する事故があり、心臓に持病がある運転手が衝突前に意識を失っていたとみられることが、捜査関係者への取材でわかった。福岡県警は、運転手を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで容疑者死亡のまま書類送検する。
戸畑署によると、事故があったのは17日午後8時50分ごろで、戸畑区福柳木1丁目の市道でタクシーが電柱に衝突。男性運転手と後部座席に乗っていた近くの会社役員の男性が死亡した。同乗していた70代の妻は手首などを骨折する重傷で、40代の娘は首にけが。現場は緩い左カーブで、タクシーは道路右脇の電柱に正面からぶつかった。
捜査関係者によると、担当医への事情聴取で、運転手には心疾患の持病があったことが判明。さらに運転手の死亡を確認した医師が「衝突前、心不全で意識を失った可能性がある」と診断していたこともわかった。現場にはブレーキ痕がなく、県警は持病の悪化が事故につながった可能性が高いとみている。
運転手が勤めていた北九州市のタクシー会社の社長によると、会社は持病を把握しておらず、事故当日の点呼でも運転手は「健康に異常はない」と答えていたという。例年9月に実施する健康診断は新型コロナウイルスの影響で延期していた。(板倉大地)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル